現金1億円をタンス預金(銀行には預けないで自宅に保管)していた場合、インフレでどれだけ現金価値が目減りするのか、またその目減り分を実物資産(今回は金地金)でカバーするためにはどれだけ保有していたらいいのか試算してみました。

【条件】 期間は10年間、インフレ率は10年通して一定の率
   1億円以外は保有していなく、インフレ以外では目減りもしない
   金地金1キロ500万円で購入(インフレ率と同じ上昇率で計算) 

パターン①   インフレ率年2%   10年間で21.89%
   1億円→10年後=1億2189万円
   現金だけの場合、10年間で2189万円の目減り
   金地金500万円→10年後= 609万4500円の価値
   金地金1キロの価値増加分=109万4500円 
   2189万円÷109万4500円=20キロ
   20キロ×500万円=1億円 

パターン②   インフレ率年=10%   10年間で159.37%
   1億円→10年後=2億5937万円
   現金だけの場合、10年間で1億5937万円の目減り
   金地金500万円→10年後= 1296万8500円の価値
   金地金1キロの価値増加分=796万8500円 
   1億5937万円÷796万8500円=20キロ
   20キロ×500万円=1億円 

パターン③   インフレ率年100%   10年間で1024.00%
   1億円→10年後=1024億円
   現金だけの場合、10年間で1023億円の目減り
   金地金500万円→10年後= 51億2000万円の価値
   金地金1キロの価値増加分=51億1500万円 
   1023億円÷51億1500万円=20キロ
   20キロ×500万円=1億円 

 お分かりの通り、現金を実物資産(金地金)でインフレの目減り分をカバーしようと思いますと、現金を全て実物資産に換えない限り、目減り分全額をカバーすることが出来ません。

 こう考えてみれば当たり前のことなのですが、先入観があってなかなかこの考えにたどり着くことは難しいのです。実物資産はインフレに強いと思っている人も多いと思いますが、現金を少しでも持っていると、インフレが進めば進むほど、損も大きくなっていきます。

 最近では、インフレ対策で総資産の10%程度実物資産を持っていればいいということが言われていますが、今回のケースに当てはめますと

パターン④   インフレ率年=10%   10年間で159.37%
   1億円→10年後=2億5937万円
   現金だけの場合、10年間で1億5937万円の目減り
   1億円の10%は1000万円、金地金を2キロ保有しますと
   金地金2キロ1000万円→10年後= 2593万7000円の価値
   金地金2キロの価値増加分=1593万7000円 
   1億5937万円ー1593万7000円=1億4343万3000円の目減り

 これでは、インフレの目減り分を実物資産でカバー出来ないということです。もちろん、これはタンス預金だからですが、銀行には預けておけば、インフレ上昇分は銀行金利である程度はカバー出来ると思います。

 しかし、やはり銀行の金利だけでは、カバーは難しいのではないのでしょうか。

 ようは、インフレ時には現金を持っているだけでリスクになるということです。デフレとは、実物資産の価値が下がり、紙幣の価値が高くなる現象です。銀行金利がほとんど付かなくても、その分、物価が下がってくれていたので、現金の価値は高まっていたのです。

 ただ、そのようなデフレの時代もアベノミクスによって脱却の時が来ております。これからはインフレに対応したリスク管理をしていかなくてはいけない時代に突入しました。