インフレになりますと、現金の価値は目減りしていきます。現金の額面は減りませんが、同じ金額で買える物の量が減っていきます。

 例えば、1億円持っていた人は、5000万円の家を2軒買うことが出来ます。しかし、インフレで物価が2倍(インフレ率100%) になりますと、同じ1億円でも1軒しか買うことが出来ません。家の価値が5000万円から2倍の1億円になるからです。

 ほとんどの人は現金を手許に置くよりも、銀行などに預けられます。銀行の預金金利が物価上昇分(インフレ率) と同じ分だけ付いていれば現金の価値は目減りしていくことはありません。しかし、大体の銀行金利はインフレ率と比べて、低く設定してあるのが普通です。

 さらに急激なインフレの場合は、銀行金利は追いつけなくなります。理由は、銀行はお客さんから預けていただいているお金を、企業に貸して金利をもらったり、国債などを購入して金利をもらったりして、その儲けた一部を預金者に金利として支払っています。

 企業への資金の貸し出し金利や、国債の金利は契約時に決まっています。その後、急激なインフレが来ましても、高い金利を企業や国債に求めることは出来ません。となりますと、急なインフレが来ましても、銀行がもらう金利は増えません。ですので、預金金利も増やすことが出来ないというからくりです。

 ハイパーインフレですと現金の価値が一日ごとに減っていきますので企業や国民は、極力現金を持ちたくないと考えます。企業(国民) は支払い(給与)などで受け取った現金は、すぐに他の物の支払に回す努力をします。すると世の中(市場)に現金の流通量が多くなっていき、さらにインフレを進行させる要因となっていきます。

 あくまで予想ですが、ハイパーインフレ時にクレジットカードは使用不可になる可能性があるのではないかと考えます。理由は、クレジットカード使用者が使用した日と、実際に現金が引き落としになる日に、タイムラグがあり、その期間の間にでもインフレが進行してしまっていたら、企業はそのインフレ分、損をしてしまうからです。なお、これは企業間の売掛金や手形も同じことが言えると考えられます。