インフレ率とは通常、消費者物価指数(CPI:consumer price index)の前年と比べての増減率(%)を表したものです。ポイントは前年比ということです。前の年と比べて物価がどれだけ高く(低く)なったかです。ちなみにこのインフレ率がマイナスの場合は、物価が前年よりも低かったことを意味します。

 例えば、前年のインフレ率がー5%で、今年が5%だったとします。すると前年は1万円の物がー5%で9523円となります。そして今年はその金額に5%増加しますので、9999円になります。今年だけ見れば、物価は5%増加しましたが、このパターンの場合は、結局前々年の物価水準まで戻っただけとなります。

 もう一つ例えますと、前年のインフレ率が5%で、今年も5%だったとします。すると前年は1万円の物が5%で10500円になります。そして今年はその金額にさらに5%増加しますので、11025円となります。そうするとこの2年間のインフレ率は10.25%になります。今年の数値だけでは、正直判断できないですよね。

 ちなみに毎年同じインフレ率が10年続くと、物価上昇は
インフレ率          2%                5%              10%           50%        100%
10年後        1.218倍     1.628倍     2.593倍    57.66倍     1024倍

 このインフレ率が高くなればなるほど、複利計算ですので物価上昇の効果が出てきてしまいます。今、アベノミクスで物価上昇率を年2%にしようとしております。本当に2%になって、その経済が10年間維持できた場合には、1億円の現金をお持ちの人は、10年後に1億2180万円になっていないと目減りしているということです。

 1億円の2% は200万円ですので、少ないように感じられますが、複利計算でしかも10年間という時間がありますから2180万円という金額になってきます。

 ちなみにある人が言うには、日本の1889年(明治22年) から2009年(平成21年)の120年間の物価上昇は3000倍になっているということです。120年間の平均インフレ率は年6.9%だったということになります。